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 Planner徒然日記 | パートナーインタビュー | お知らせ 

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パートナーインタビュー2回目のお相手は、せたがや文化財団 生活工房のプログラムディレクター鈴木律子です。鈴木さんは、財団が運営する世田谷文化生活情報センターにある「生活工房」事業の責任者として、日々ご活躍されています。今回は、生活工房が目指す姿や、生活工房と石川さんが進めるワークショップについてお伺いしました。


まず、「生活工房」とは何なのか、どのような活動を行っているのか、ということについて簡単に伺わせていただけますか?

鈴木: 世田谷文化生活情報センター生活工房とは、「衣・食・住」という生活文化の3つの領域を「デザインする」という切り口で、できるだけ生活者の方に参加・体験していただけるプログラムを提供している公共施設です。「衣・食・住」という、私たちの生活にとって必要不可欠なテーマをもう一度見直すことによって、「これまで見えなかったこと」が見えるようになり、その結果、暮らしの「豊かさ」を少しでも実感していただくことにつながればと考えています。
石川:



鈴木:
以前から思っていたのですが、個人的には、生活工房さんの「工房」って言う部分にすごく自由なイメージを受けますね。

そうですね。活動をはじめるにあたって「生活工房がどうあるべきか」ということを考えたときに、世田谷区民をはじめとする生活者の方々に色々な活動を「見てもらうための箱」となることも大事だと思いましたが、それよりも生活者の方々にわからないことを「参加していただき、体験していただく施設」となることこそが一番身近で、一番楽しいのだろうと思いました。簡単に言うと、生活工房は「広場」でありたいと考えています。世代や文化など色々な背景を持った人が集まり、出会い、「それぞれが違っている」ということを面白いと思うようになってもらえる、そんな場でありたいですね。


2004年5月から、「カラダのデザイン」という実験的なワークショップを生活工房と石川さんで提携共催という形で開始されましたよね。その意図は何だったのでしょうか?

鈴木: 今の時代、人々があまりにも情報過多になりすぎて、食べ物を見ても、鮮度がわからない、感動がない、心がない、という現象が多く見られるような気がします。本当の意味で必要な情報を知ることで心が豊かにならないとダメなのに、バーチャルの感覚だけが強くなりすぎて、かえって感性が貧しくなっているような気がします。そういう中で、食に関して自分に必要な知識を正しく持ってもらう機会をご提供することで、生活者の方々の感性に少しでも訴えることができればと思ったのがきっかけです。食って人間の根源的なテーマだし、食べ物に関する仕事は人間と人間をつなぐ大事な仕事。だからこそ、生活工房でぜひ取り上げたいと考えていました。そもそも食卓って、家族にとって最高のコミュニケーションの場だと思っています。
石川: 本当にそう思いますね。私は常々、特に栄養に関連する仕事を目指す人には「この仕事は、食べ物とカラダをつなげる仕事だということを忘れないように」と言っています。栄養アドバイスをする際にも、「この栄養素が何ミリグラム必要だ」という観点ではなくて、「このカラダにとって何が必要なのか」という観点をきちんと持って考えて欲しい。だって、栄養って、人の体が主役にならないと意味がないですよね。栄養そのものは決して主役じゃない。だから私は、このワークショップを通じて、参加者の方一人ひとりに「自分の体にとってどのような栄養が必要なのか」という感覚を自然にもてるようになってもらい、実際に栄養を通じて「自分なりの体と心の豊かさ」を手に入れてもらいたい。そうなれば本当に嬉しいですね。
鈴木: 石川さんがこれまで培ってこられたトップアスリートの方々との経験を、石川さんご自身の言葉で参加者の方にとっての活きた知恵に変換させること。これによって、参加者の方々の意識や行動に「化学変化」をもたらすことが可能になるのだろうと思いますね。
石川: アスリートとの経験から培った現場での知恵は、自分にとっては普通の発想。これを皆さん一人ひとりに最適な形でご提供することで、少しでも還元できればいいと思っています。


ワークショップ「カラダのデザイン」は5月・6月とこれまでに2回を終えましたが、どのような実感をもたれていますか?


鈴木: 参加していただいた方の反応をじかに拝見して、「皆さんから絶対に必要とされている内容である」ということと「今後の展開に大きな可能性がある」ということを実感しています。これまで、石川さんのように、ご自身の知識を一人ひとりの知恵に変換できる方との出会いがなかったので実現できませんでしたが、やはりこれまでの思いは間違いではなかったと改めて感じています。
石川: ここ生活工房では、やりたかった仕事ができているような気がします。何が理由だろうと考えたのですが、多分「正解がないから」ということのような気がしていますね。
鈴木: そうですか。私たちの思いとして、生活工房の活動を通じて「みんなが絶対にこうならなければならない」ということはないんです。参加してくださった方一人ひとりが何かしらに気づいてくれて、その何かを持ち帰ってくれればそれでいい、と思っています。だから石川さんが色々とやりやすいのかも知れませんね。
石川: 私もこれまでの経験から「人の体に正解はない」と思っています。学校などから依頼をいただく講演では、選手が試合に勝つためなど特定のニーズに対応するための話もしますけど、生活工房では自分の思うようにできますね。ワークショップ中も、私のある言葉に対する皆さん一人ひとりの反応がそれぞれまったく違いますし、栄養に関連する仕事を目指す方向けのコースでは、熱気をとても感じます。だからこそ、「この栄養さえ摂っておけば大丈夫です」なんていう押し付けは絶対にしたくないですね。


最後になりますが、今後、生活工房さんと石川さんはどのような活動を行っていくのでしょうか?


鈴木: 大人をあきらめているわけではないのですが、「子供に未来を託したい」という強い想いがあります。例えば中学生や若い人にはもっと希望を持ってもらいたい。今後はもう少し幅広い層に興味・関心を持っていただけるテーマを設けて、「食べ物は大事だ!」というシンプルなテーマを発信していきたいですね。まだ企画段階ですが、世田谷区の中学生に対して、総合学習の時間などを使ったプログラムなど面白いと思っています。石川さんとアスリートの方に実際に学校を回ってもらったりしてもらいたいですね。いずれにしても、この2ヶ月の実験的なワークショップで本当にたくさんのテーマがあることがわかったので、それを元に具現化していきたいです。
石川: 私は中学生もそうですが、小学生にも語りかけていきたいですね。特に小学生には、小学生向けの料理本を出したいと思います。「誰かのために何かを作りたい」という温かい気持ちを子供たちには持って欲しいですし、そのためにどの材料をどのように調理すればいいのか、ということを一人ひとりの目線に立って一緒に考えていけるようなワークショップも連動させてやっていきたいですね。
鈴木: いいですね!それ絶対やりましょう。
石川: あと、中学生。この子たちとは、変な言い方になりますが「きちんと勝負してやらねば」と思います。今の中学生っていろんな意味で難しい。「道場破り」くらいの気分で行かないと、こちらの気持ちも伝わらないと思います。だから、現役アスリートと直にぶつかって勢いがあるうちに、中学生向けのプログラムをやりたいですね。なんか偉そうですが、彼らには「自責」という概念を自分の体で感じてもらいたい。「自分の体は自分でどうにかする」という風に感じてもらえるまでにつなげていければ嬉しいです。
鈴木: 家庭と教育には、食が共通しています。そういう意味では、石川さんには食や栄養の知識を伝えることを通じて、感性の触媒役のような存在であって欲しいと思いますし、生活工房も人々の感性に訴えるようなプログラムを企画・実現していきたいと思いますね。



インタビューを終えて
今回は6月22・23日に行われた第2回「カラダのデザイン」ワークショップ終了後に鈴木さんにお話を伺いました。プログラムディレクターとして非常に多忙な毎日を過ごされているため、健康管理には人一倍の関心をお持ちの鈴木さん。そういえば、「カラダのデザイン」ワークショップ中は、現場監督としてではなく、一参加者としてどの参加者の方よりも「ウンウン、なるほど」と笑顔でうなずかれていたような気がします。
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